9/29(日)に新潟県は越後湯沢で開催された秋桜ハーフマラソンに参加してきた。初のマラソン大会なのでまずはハーフで自信を付けてからフルマラソンに臨もうと考え、ステップレース的に出てみた訳だが、大きく心を折られる展開が待ち受けていた。
そもそもレースが初めてなので知らないことだらけ。準備できていたらもっとうまく立ち回れていただろう。よくプレゼンに臨む際に言われる「準備が全て」。マラソン大会にはそのまま当てはまる。フルマラソンに臨む際にも必ず刺さってくることなので自戒も踏まえてまとめておく。もしこれから初めてマラソン大会に出るんだ、って人がいたら参考にしてもらえるんじゃないかな。少なくとも自分が事前にこれ見てたら良かったなぁと思う内容ではある。
スタート地点とスタート位置
今回はスタート地点で大きく失敗した。同時に3,000人ほどがスタートするレースだったので、スタート地点がかなり縦長になっていた。スタート位置がブロックで2つに分かれていて、自分は後半の2ブロック目が整列位置だった。写真で見るとかなり縦長であることはわかると思う。
走り出したらそれぞれのペースでこなれてくるだろうから、必死になって前の方に整列する必要はないかと思い、第2ブロックの最後尾についてのんびりと構えていた訳だが、これが今回の最大の失策だったとスタートしてしばらくして気づいた。
スタートの号令がかかっても全くスタートしないのだ。もちもちと歩き始める程度。数百メートル先にあるスタートゲートにたどり着いた時、みんなおもむろに駆け足をはじめた。ここでちょっと焦った。今回お試しとはいえ、最低限2時間は切ろうと思って臨んでいる。こんなスタートじゃ100%間に合わない。
渋谷のスクランブル交差点のような人混みの中を縫うようにして前へ前へと走り始めた。幸いスクランブル交差点のように前後左右から人が向かってくる訳ではなく、みんな前へ向かっているので流れは読みやすい。一気に前が空くことがある左右のコース際を利用して一気に突っ切ったりしつつペースを上げていった。
前半の3kmくらいはとにかく団子集団を抜くために走った。これは後で気づいたのだが、第1ブロックはある程度タイムを持っているランナーや経験者が集められたペースの早い集団で、第2ブロックは持ちタイムが遅かったり、自分のように初挑戦のランナーが集められていたのだと思う。集団を抜けてようやくペースが合いそうなランナーを見つけた時、周りを見ると第1ブロックのゼッケンの人達ばかりになっていた。
最後尾から出たことを考えるとこの時点で1,000人以上は抜いて前に出ていったことになる。人を縫いながらなのでペースを上げたり落としたりしながらぶつからないように注意をはらいながら。スタート地点を見誤ったことで心身共にかなりの負担をかけてしまったと思う。
自分がどのくらいのペースで走ろうとしているか、そこから逆算してどのポジションでスタートするか、ちゃんと考えてスタート地点に立つべきだった。次回からは気をつけたいと思う。
記録とネットタイム
前述の通りスターティングポジションを間違えたことにり前半はある程度飛ばして集団を抜き去る必要があった訳だが、3kmほど走ったところでさらなる悲劇に遭遇する。
今回のレースでは2時間と3時間の目安のペースメーカーとなるランナーが走っていたのだが、その2時間の方のランナーに出会ったのだ。そこまでの自身のペースが2時間を余裕で切れることはわかっていた。後で知ることになるが、それを「ネットタイム」というらしい。自分の足がスタート地点を通過してからフィニッシュするまでの計測タイムのことを言う。靴に付けたチップで測るらしい。
それに対してレースのタイムは「記録」と呼ばれる。大会に出ての目標タイムなんだからこの「記録」で勝負しなければならないだろう。今回はスタート地点で遅れをとっている段階で、かなりのハンデを背負ってしまっている状態であることにここで気づいた。仕方がないのでここから挽回するしかない。まずはこの2時間のペースランナーを抜き去るところからはじめねばならない。
しかし3kmほどハイペースで走って来て、ちょうど登りが厳しくなってくる頃だった。少し息を入れようとペースを落とすとペースランナーは遠ざかっていく。焦って追いつこうとペースを上げる。追いついてペースを緩めるとまた少し差をつけられる。そんな嫌な展開に陥ってしまった。序盤飛ばした分、登りで加速する余力は残ってなかった。
このままだと精神衛生的によくないと判断し5kmを超えた辺りで出てきた下り坂で加速してペースランナーを抜き去った。さらに7kmを超えて本格的にくだりに入った時に一気に加速して引き離した。この辺りで一度4:12min/kmのラップを出したのでオーバーペースになってる自覚はあったが、ペースランナーとギリギリの攻防をするのは嫌だったので下りが続く限り飛ばし、平坦になってからペースを安定させた。
実際レース後にもらった証明書ではこんな感じ。
記録 1:54:19
ネットタイム1:52:00
2分19秒も違う
よくよく考えれば、自分の目標を「記録」と照合せず「ネットタイム」でもいい訳だ。むしろその方が正しい計測でもあるのだから。もしネットタイムで割り切っていれば2時間のペースランナーとの苦しい攻防を繰り広げることはなかった。
コースとペース
ここまで書いたことは次回から意識するだけで変えられることだと思うが、コースを知るってのは結構難しいことかもしれない。特に今回のように自分が普段いない場所に走りにいったりすると厳しいのかもしれない。
秋桜ハーフマラソンを申し込んだものの何も調べずに行ったし、前日入りしたもののコースの下見など全くせずにぬくぬくとグルメに舌鼓を打ったりまったり温泉に入ったりして過ごしてしまった。せめてドラクエウォークやりつつコースを巡るくらいのことはしても良かったのに。
走る前に受付でもらった高低差のグラフを見て最初の5kmは結構登りになっていることを知った(これをスタート直前で把握している時点でやばい)。最初にあまりペースを上げて走っては後がきつくなるなということだけ理解した。逆に言えば前半さえ乗り切ればあとは下りと平坦なコースだと。
実際、そんな甘いもんじゃなかった。高低差のグラフに現れているのは結構急な上り下りがある部分だけで、3kmかけて徐々に登っているところなどは微差としか見れてなかった。最初の5kmで600m程の登りがあるため、残りのアップダウンはグラフでみると大したことないように表現されていた、というのが正確な書き方だろうか。
これは10km手前の折り返し地点だが、下って下って折り返し地点がある。つまり折り返したら登って登るということ。なかなかにランナーの心を折らんとするコース設計だなと思ったね。
15kmを超えたあたりだろうか、平坦だと思っていたラストが長い長い登りになっていることを知る。あと2kmくらいのところで、大きなカーブと高速の高架により先のコースが見えなくなっている地点があった。かなり追い込まれていたので、そこまでいったら登りが終わりいい加減平坦コースに戻るであろうと想像して走ってしまっていた。
蓋を開けてみれば、カーブの後も引き続き登っている。ずっとずっと見える限り登り。そこで自分の心が折れたのがわかった。歩きだしたりはしなかったものの、そこまで保っていたペースを落としてしまった。マラソンは心が折れたら終わりだ。そこから元のペースに戻すのはかなり難しい。残りの2kmは必死に前に足を出すだけでろくにスピードも出せず、なんとかゴールまで身体を運んだというかたちでフィニッシュ。
グラフがどうあろうが、実際にコースを見ていればどのくらいの登りと下りがあるか知った上で臨めたはず。ラストがずっと登りであることも事前に知っていれば心が折れるようなこともなかったはず。もちろん今回はスタート地点の見誤りや2時間のペースランナーとの無駄な攻防があった。それらがなければもう少しマシかもしれない。が、いずれにせよ、コースは知っておくに越したことはない。
今後見知らぬ土地でのレースに臨む時は最低限高低差がどんなもんかくらいは下見しておこうと思った。
給水ポイント
自分でトレーニングしている時には給水ポイントなんてない訳で。テレビのマラソン大会で見たことあるやつやーと思いながらの初体験。1回目の給水ポイントは団子集団を抜き去ってる最中だったので、給水ポイントにややみんなが寄ることで空いたコースを走り抜けたのでスルー。初めて取ったのが2時間ペースランナーとの攻防中で登りでややペースが落ちている時だった。
やってみてわかったこと。走りながらって全然飲めない!コップを傾けて水を喉に流しこんだつもりがむせてしまった。体内に入った水分はいくばくかでほとんどは吹き出してしまった。たかだか水を飲むのがこんなに難しいとは思わなかった。
むせたことで呼吸のリズムも崩れペースも乱れて一気に苦しくなった。元の状態に戻すまでしばらく後を引いた。給水怖い、できるならせずにいたい、なんて思ってしまった。
その後、バナナが配られる給水ポイントや、プチトマトが配られる給水ポイントなど、不思議なのもあった。トマトの時は何故かつい受け取ってしまった。味は覚えていないがここでもむせてしまった記憶はある。
普段10km程度走る時には給水などせずに走っていたから考えたこともなかったが、ハーフ以上になるとやはり給水しないと走りきれないんだろうか。今回、何箇所の給水ポイントがあったかは記憶していないが、初回で苦手意識を持ったこともあり、2回しか取らなかった。ちなみにその2回目がトマトをもらった時。
これについては走りながら飲むという行為自体に慣れればなんとかなるのかもしれない。今後10km以上走る時はペットボトルを持って走って、止まらず走りながら飲む訓練をしてみようと思った。
色々反省点を書いてきたが、前回のブログで立てていた目標に対してはある程度クリアできた。
立てた3つの目標は段階を追ってこんな感じ。「完走する → 2時間を切る → 1時間45分を切る」。ネットタイムでも1時間52分だったので3つ目の目標は達成できずだった訳で、何故達成できなかったかの原因を分析してみると今回あげた4つのことだと思っている。
おそらくもう1回ハーフを走ることはなくて次はフルマラソンにすると思う。そこにも活きる経験ができたという意味でも良い初めてのマラソン大会参加だった。
あとあれか、ショートスリーパーでもマラソン大会余裕で完走できることを証明できたかな。寝てないのによく走れるね?ほんとにそんなに走ってるの?なんて言われるけど睡眠とはなんの因果関係もないよね。ちゃんちゃらおかしい。おへそで湯が沸く。いや沸かないんだが。
と、フルマラソンに向けてガンガンやってくかと思いきや少し休憩する。申し込んでいる京都マラソンは来年2月だしね。準備は3ヶ月前くらいからで大丈夫なはず。なので、しばらくは本格的にサーフィンの練習をしようと思っている。左肩も治ってパドリングできるようになってきたことだしね。