ダイビング初心者のうちに知りたかった3つのこと

ダイブマスターになる過程で気付かされるダイバーとしての未熟さ

7年前にオープン、3年前にアドバンス、1年前にレスキューそして、今年ダイブマスターとじっくり時間をかけてダイビングのプロ資格までたどり着いた。プロ資格と言ってもだいそれて凄いことができるわけではなく、ちょこっとダイビングのお仕事ができるようになったねってだけだで、本気でダイバーとして仕事をするならこの先インストラクターになる道を進む必要がある。

もちろんインストラクターになるつもりはなく、ダイブマスターになったのもなんかかっこいいなーレベルの軽い気持ちからだった。レスキューの時もそうだったけど、花粉疎開の沖縄期間でただただ潜ってるだけなのもつまんないなーってのもあって。そんないい加減な動機ではあったが、本当にトライして良かったと思う。

ダイブマスターになるために勉強したり講習をうけたり実際のゲストさんのダイビングに同行して演習したりと色々あったが、それを通しての学びが深かった。そして今更って感じだが、自分のダイビングスキルがようやく一人前になったと感じた。昨年までも上級者向けのポイントにも難なく潜れるしダイビングに自信はあったんだけどね、ダイブマスターになった今振り返るとこれまでは全然ダメダメだったんだなと恥ずかしくなる。

一応プロとしてガイドする側に回る資格なので、自分ができるのは当然で、それを人に教える必要がある。人に教えるためには自分が余裕を持って完璧にできる必要があるんだが、実際に教えようとすると意外とできていないことに気付くという感じかな。未熟者だった。

ダイビング初心者のうちに知りたかった3つのこと

詳細は個別に説明していくとして3つを端的に書くとこんな感じかなと。
・機材は友達怖くない
・魚になれる適正ウェイト
・ウェットスーツファースト
これだけ見てもなんのこっちゃっだが、それぞれ読んでもらえばなぜ初心者にこそこれなのかわかってもらえると思う。

機材は友達怖くない

久しぶりのダイビングは緊張する〜という人が多いと思うが、その要因のひとつが陸上ではありえない重装備である。重いし自由が効かないしそもそも何がどうなっててどれがどの目的のためにあるのかとかわからない。そんなもん背負わされるんだから緊張するのも無理はない。

これを解消できるだけで随分気持ちが楽になる。そのために必要なことはシンプルに機材セッティングをちゃんと自分でできるようになること。それだけで機材に相対した時の無駄な緊張感がなくなり、初心者が抱えるダイビングに対しての漠然とした不安は霧散する。

そもそも自分の命を預ける機材なんだから自分でセットもチェックもできた方がいいに決まっている。だから一番最初のライセンスであるオープンの取得時に教わる。しかしライセン取得後に機材セットをする機会はあまりない。例えばファンダイビングに参加すると、もちろん地域やショップの方針にもよるが、だいたい機材セットはされているし、タンク交換もやってくれるので自分でやる機会がない。

やってもらえるから楽ちんだと甘えているといつまで経ってもダメ。人間の記憶は反復によって強化されるもの。ライセンス取得時しかやってない知識などすぐ忘れてしまう。なんとなく知ってるから大丈夫と思ってても実際に自分1人でやると意外とできなかったりする。多分、機材セットをしっかりできるようになるのはマイ機材を買う程にダイビングにハマった中上級者からだと思われる。

機材セッティングができる=機材への理解が深まる=ダイビングに対するストレスが激減する。また付帯効果もあって、潜行する前の準備もスムーズになり余裕ができる。他のみんなが準備万端なのに自分だけまだできてなくて焦ってしまう初心者あるあるから抜け出せる。結果、タンクを開け忘れたり、レギュレーターとオクトパスをくわえ間違えたり、インフレーターと残圧計を掴み間違えたりすることもなくなるし、水中にも落ち着いて入っていける。いいことずくめ。

初心者がダイビングを楽しむための近道として、水中でのスキルアップももちろん大事ではあるが、それ以前に不慣れなダイビング器材から生じるストレスの軽減の方が重要だったんだなと、機材セッティングをきちんとマスターしてようやく気付いた。

自分がしっかり機材セットを覚えたのは、ダイブマスターの講習でゲストに教える機会をもらった時だった。人に説明するためにシナリオを書いて練習してはじめてちゃんとできるようになった。冒頭でも書いた教えることが最大の学びであるってやつ。なかなか覚えられんなって人は、誰かに教えるつもりでやってみるといい。

魚になれる適正ウェイト

潜る前に腰に巻き付けるおもり。その程度のイメージしかないウェイトで自分が一体何キロだと適当なのかとか全然考えたことがなかった初心者時代。適正なウェイトを知って身に付けることでダイビングがものすごく楽になるなんて思ってもみなかったよね。

ウェイトが軽いと潜行に苦労するし、BCにエア入れたら浮力確保できるから、あまり軽いよりは重い方がいいか、なんて思ってた時期があったが、愚かな考えだったなと反省する。

ダイビングに行くと、インストラクターさんから「ウェイトは前回何キロくらいでしたか?」と聞かれるならまだいい方で、だいたいは見た目でなんとなく勝手に決められて渡される。「多分3キロくらいで大丈夫だと思います。これ3キロですどーぞ。」みたいな感じ。こんなんじゃ気に留めなくても当然。

適正ウェイトをしっかり見極めて潜った方がいいことをちゃんと知ったのは、BCが壊れてエアが入らなくなってしまい浮力は自分の肺だけでコントロールするしかなくなった時。ちょうどおニューのウェットの時だったので重めに振って5キロも付けて潜った時だったからなおさらやばかった。

20mくらいまで潜行した後、BCに空気を入れても全然浮力が出ず下に下に引き込まれる。途中で背中から空気が漏れててBCが故障していることに気付いたが、あまりみんなから離れる訳にもいかず、リーダーから目の届く範囲の深度まで上げて、岩場があれば捕まって沈まないようにし、無い場所ではとにかく下に向けてキックして海底に引き込まれないようにするしかなかった。

それが1本目だったので、その後の2本もまともに空気の入らないBCでいくしかなかった。ウェイトを調整して最終2キロまで減らしたことで、無駄に海底に引き込まれることもなくなり、ある程度の深度までは呼吸だけで浮力のコントロールをできるようになった。

BCに空気を入れれば済むんだからそこまでシビアに適正を突き詰めなくてもいいという考え方もあると思うが、BCに頼らずに中性浮力が取れる状態だととても有利なことがある。一番インパクトが大きいのは初心者あるあるの「想定外の浮上」がなくなること。

そうなる原因のほとんどはBCの空気調整ミス、深場でエアを足してそのまま泳いでて知らない間に深度が上がってて浮上するというパターンだから、そもそもエアが入ってなければそんなことは起こらないわけで。

BCを全く使わないという極端さではなくとも、適正に近いウェイトで潜れてさえいれば、そこまでBCにエアを入れずとも中性浮力が取れるから、上記したような浮上事故は起きにくくなる。

適正ウェイトで潜ると、インフレータ操作をあまりせずとも楽に中性浮力が取れ、中性浮力が取れることで魚のように楽に泳げるようになり、不用意に浮上してしまう心配もしなくていい。これって初心者にはめちゃくちゃ嬉しいことではないだろうか。

ウェットスーツファースト

ダイビンググッズは大きく分けて3つ。マスク、シュノーケル、フィンなどの軽器材、次にレギュレーターとBCなどの重器材、そしてウェットスーツである。比較的安価でシュノーケリングするのにも使える軽器材が一番手を出しやすい。残りのレギュレータとBC、ウェットスーツはどれも高価でなかなか手を出しにくい。

あえてどれかを選ぶならウェットスーツであると言いたい!しかもオーダーで作ることをおすすめする。つるしといって既製品を買うこともできるが、それだとレンタルとあまり大きく変わらないのでおすすめしない。もし機材を全部揃える場合は、レギュレータやBCに使う費用を多少削ってでもウェットスーツに割きたい。

理由はレギュレータやBCはスキルで補えるがウェットスーツはなんともならないから。身体にピッタリのスーツで潜るのとそうでないのとでダイビングの快適さは天と地ほどの差がある。これは実際にオーダースーツを着てはじめてわかった。

身体にあったウェットスーツを着ていると水の出入りが極端に少ない。レンタルのウェットを着ている時はずっと水が出入りしていた。止まっている時でさえ水が出入り自由なので体温奪われ放題。ダイブマスターの勉強中に知ったが水中では陸上の10倍のスピードで体温が奪われるそうな。水は空気の約27倍熱伝導率が高いんですってよ、そりゃ寒いわって話。

これまで潜ってていつも寒かったんで「ウェットスーツは中に入ってきた水が体温で温められてベールのように守ってくれるので、実はそんなに寒くないんですよ〜。」って絶対に都市伝説だと思ってたが、なんのことはない、オーダーのウェットスーツでは本当の話だった。レンタルウェア着てる限りほぼこれは体感できないものだったと今更知ったよね。

ちなみに寒いとエア消費も激しくなる。実際マイウェットスーツに変わるだけでエア持ちも良くなった。BCやレギュレータももちろん大事だけど、最も基本的な快適さの部分がこれだけ底上げされるんだからウェットスーツを重要視しろという意味がわかってもらえたかな。

しかもだよ、水中でそれだけ恩恵がある上に、今回オーダーしたものは陸上でも絶大な快適さをもたらしてくれている。

個人的にダイビング時の厄介事ベスト3に入る「トイレ」。ワンピースだとトイレに行く時が本当に大変だった。トライアスロンのトライスーツもトイレの面倒さが嫌過ぎてワンピースタイプから2ピースタイプに買い替えたかえらな。

今回ウェットスーツをオーダーする時は2ピースにした。標準仕様ではロングジョン+ジャケットの組み合わせになるが、それだとロングジョン部分がワンピースと同じで面倒なので、ロングジョンを胸の位置で切り飛ばしたものを作った。わかり易い例でいうと魚屋さんのエプロンみたいな感じ。インストラクターさんがよく着ているタイプのものでもある。これでトイレに行くストレスが全くなくなった。オーダーはそういう形状まで自由に指定できるのが素晴らしい。

最後に書いたトイレのことも個人的には結構大きかったので、少し偏った意見かもしれないが、もしダイビング道具の購入を検討するならウェットスーツファーストで考えることをおすすめしたい。

おわりに

ダイブマスターになる過程で遅まきながら気付いた、ほんとはもっと早く知りたかったなってことをまとめてみた。3年前の自分にこれを読ませてあげたい。その他の機材はともかくウェットスーツはさっさと作ったろうし、機材セッティングも自分でやって、ウェイトも軽め軽めを選択して適性を見つけて楽に泳げてたんだろうな。

もし運良くダイビング初心者でこれを読んだ方がいたら騙されたと思って試せること試してみてほしい。1つでもトライすれば大きく変わると思うんで。

5日 ago

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